being&doing

美濃紙業では毎月初めに朝礼があります。今年の6月から現場の契約社員も出席するようになり、全員揃って10分から15分間の集まりを持っています。

社長は主に経済界や紙業界のことを話し、藤本取締役が業務上のことを、そして、毎月輪番制で一人の社員がスピーチします。その内容は、家族や趣味、また、健康についてなどテーマは自由ですから、スピーチにそれぞれの人柄が表れ、親しみを深める良い機会になっています。

さて、今月1日の朝礼で藤本取締役は話の最後を次のように結びました。

「私が皆さんに文書や言葉で何かを伝える時、常に心にとめていることは、” To understand the purpose why you have to try or do it. “で、いつも” for what “(何のために?)を考えて行動しています。即ち、なぜそれをやらなければならないのかと目的を理解するのです。

どうか皆さんも『なぜ私はこんな事をしなければならないのだろう』と思うのではなく、常に目的と理由を理解した上で仕事に取り組んで頂きたいと思います」。

この短い言葉から本人の生きる姿勢が伝わってきます。もっと詳しく聞きたくて原稿を依頼して取締役の信条を語ってもらいました。

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私の考え方の根本には母の教えが脈打っています。
「自分は一体何を求め、そのためにどう生きるのか」ということを、自我に目覚めた頃から語りかけられて大きくなりました。そして、「何事も自らの頭で考え、問題意識を持って主体的に生きなさい」と私たち姉妹は育てられました。これが私の人生の座標軸になっており常に脳裡にあります。

先日もある講演会で有識者が現代の教育を嘆いてこんなことを話しておられました。

「塾へ行き、問題を解く訓練をすればするほど自分の頭で考えなくなる。彼らは見事に一問一答、つまり答えは一つだけしか存在しないと固く信じて数をこなし、解き続けるのだ。国政にも間接的に長く携わってきたが、役に立たない人が増殖している」。

塾と言ってもいろいろありますから一概には言えませんが、私と妹は塾へ行った経験がなく常に自学自習でした。例えば、数学は早く解くことはできなくてもじっくり考えることが好きでした。このことはとても重要だと思います。

自分の頭で考える訓練をしていないと社会へ出た時、仕事上の指示内容はできても目的や理由を明確にして取り組んでいないために、機械のようにこなすだけで考えることをしません。
言われたことは何でもやるが、それしかできない「でもしか人間」になってしまいます。

もし、その指示の先にある目的から徐々にずれる事態が起きて、状況がその指示(処理)が打ち出された当初と変わってしまった場合、その人はその指示(処理)に改善が必要になっていても気づく事ができません。指示されたことは着実にできても指示をこなしただけにすぎないのです。これでは本人も充足感を感じることもありませんし会社としても困ります。

私は今、一人ひとりのペースに合わせて絶対評価で見守っていますが、徐々に訓練度を上げていき将来的にはトップクラスでも通用する人材に成長してほしい、共に成長したいと願っています。その希望をもって日々具体的に指導案を練り、提示しながら進めています。

自分の人生、自分が主役です。自分は何を求め、そのためにどう生きるのか。常にそのことを自らに問いかけながら生きていきたいと思います。

自分が決めた職場で、自分が置かれた人生の場所で、お互いに日々薫陶努力したいものです。そのことは会社の業績向上だけではなく、とりもなおさず、自分の人生を豊かにすることにほかならないのです。

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読んでいて胸がジーンと熱くなりました。皆さんも熱くなっていただけたでしょうか。これらの記事を通して互いに人生を深めていくきっかけになればと思います。

勿論、企業ですから一にも二にも利潤追求、業績アップです。喜びのビジョンを胸に、必ず実現できることを信じてチャレンジを続けます。