being&doing

9月に入りました。ロシアの文豪トルストイは、「最上の幸福は1年の終わりにおいて年頭における自己よりも良くなったと感ずることである。」と言っています。1年ごとに自分が少しでも向上することだというのです。

本年2月に経営改革が始まり、役員は何名もの経営コンサルタントと話す機会を設けてきましたが、どの方も口を揃えておっしゃったのは、「通常、トップの改革への熱意やスキルが全社員に浸透するまでには数年かかる」ということです。

しかもそこに行き着くまでに、まず各部長が指示の目的を理解できず「やらされ感」のために疲れ果て、遅々として改革が進まないことも多々あるというのです。

ところが、特に新しい会議を立ち上げてからの各部長の動きには目を見張るものがあります。既に改革のパッションが伝わっており、彼らはその目的 ” for what “(何のために)を基軸として発案し、動く人と変えられました。
新設した会議や勉強会を活かし、また日常的にも役員と頻繁に意思疎通する機会を持つようになったことが最大の理由でしょう。

店頭、営業、現場、それぞれのリーダーが主体性をもって自発的に職務をこなしている姿は当社の未来を予感させます。その働きを陰で支える経理部も然り、社員全体にその意気込みが波及しつつあります。

心の在り方が間違っていたり、澱(よど)んだ空気の中では何も良いものは生まれてきません。私たちは常に心を正し、” for what “をキーワードに励んでいますが、この言葉が当社の経営理念や企業の社会的使命に通じるのは言うまでもなく、各社員の人生においても柱となることでしょう。

「経済的成功の15パーセントは専門的知識から生み出されるが、残りの85パーセントは『考えを表現する能力、リーダーシップをとる能力、そして人々の熱意を引き出す能力』によるものとなる」。

これは自己啓発書のバイブルと呼ばれている『人を動かす』の著者デール・カーネギーの言葉です。この本が時代を超えて読み継がれるのは、カーネギーが人間の本質を熟知し、その原則に立って一人ひとりの良さを引き出し、互いを大切にし合う関係へと教示するからだと思います。

お互いにスキルを磨くだけではなく、仕事を通して人格を磨いていきたいものです。否、スキルは人格の成熟度と相関関係があり、人格を通して高められていくものであると確信しています。

折々に識者達との不思議な出会いがあり突破口が開かれてきました。今年も残すところあと4ヶ月、私たちも良い1年だったと思えるような日々を重ねていきたいと思います。