最悪こそ最善なり
日本洋紙板紙卸商業組合・副理事長
日 紙 商 西部ブロック会・理事長
大 阪 洋 紙 同 業 会・理事長
藤本良輔
新年あけましておめでとうございます。
昨年は大手家電メーカーのパナソニックやシャープが、韓国や中国家電メーカーの攻勢により二期連続の大幅な赤字となり、関連の中小企業にとっては企業の存続が脅かされる厳しい年となりました。
大阪洋紙同業会も景気減速による経費削減や家電業界の低迷による紙需要の落込みは大きく、全国ベースと比べても厳しい状況でした。
我々は2011年に大幅な価格修正を達成したものの、東日本大震災により紙不足となって輸入紙が緊急輸入され、国内メーカーだけではなく輸入紙も交えての競争になりました。
一部では値上前の価格に逆もどりするなど、過去に経験したことのない厳しい状況となり、卸商にとりましては一刻の猶予なく経営改革に取り組んでいかなければ生き残っていけない現実です。
紙需要においてもリーマンショック以降は紙の使用量が大幅に減っていますし、アイパッドやスマートホンの情報端末の爆発的な普及により、今後ますます電子化によるペーパーレスが進んでいくと思われます。
我々の客先である中小印刷業界もまた情報化の流れで小口印刷が減っており、倒産廃業する印刷会社が後を絶ちません。一方、通販印刷会社の存在も大きく、印刷業者が通販印刷会社に丸投げするケースが増え大きな影響を受けています。
このような状況下で卸商はどのように対応していけばいいのか、そのことが存続できるか否かを決定するといっても過言ではありません。
もはや今までのように数量を追いかけて安売りを続けていては立ち行かず、売り上げを落してでも利益率重視の経営に切り替えていかねばなりません。そのためには是が非でも業界の協調協力体制が大前提となってきます。
卸商も紙以外の商売を考えていかねばならないとはよく耳にすることですが、そんなにたやすいものではありません。今まで安定的な需要に守られ、また、異業種の参入もないからと安住してきた業界ゆえに、新しく何かをしようと考えても発想することすらできないのが現状ではないでしょうか。
我々は今一度原点に立って達観し、大切なことを見失わないことが肝要です。そして、本気で経営改革に取り組むために、全てに先立って私自身の意識改革に励んでいます。
そして、全社員が危機意識を持って職務にあたり、仕事を通して互いに人格を養っていく会社経営を実現したいと願っております。この厳しい状況だからこそ良きものが生まれることを信じて邁進したいと思います。
最後に、紙業界、関連業界、関係者お一人おひとりのご健勝と益々のご隆盛を祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。
(美濃紙業株式会社 代表取締役社長)