being&doing

世代交代の新体制に入って1ヶ月過ぎ、毎月初めに持たれている昨日の朝礼で藤本知子専務は今一度、自らの中核にある全人的な経営理念を熱く語りました。

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少子化、電子化といった厳しい時代により紙の需要が減少している中で、それでも創業70年の和洋紙卸商として生き残っていく為にはどうすればよいのか。

やはり最初に出てくるのは適正利潤の追求でしょう。これは商売の基本でもありますが、その為には利潤を得ていた過去のどの時代よりも、今こそ社員が一つとなることが必要だと私は考えています。

最近の私は、数年前は頻繁に出席していた経営者向けセミナーにめっきり足を運ばなくなりました。セミナーでは経営理念や人材育成などのテーマを取り上げ、それらが特に人気があるテーマのようですが、今の私の考えでは、これらについてはノウハウを学んで事に当たっていくよりも、私自身の全人格を真正面から社員にぶつけていく、その真剣な熱意と誠実な姿勢こそが重要であると信じています。

そして、この事は私の尊敬する松下幸之助さんも仰っていることなのです。本日も私の愛読書から先の話の具体的内容ともいえる部分を抜粋して皆さんにシェアしたいと思います。

これは松下さんが経営者向けに書かれた著書ですが、皆さんの中に、もし「彼は過去の人だ」と思っておられる方がいらっしゃるならばそれは間違いであると私は考えます。

何故なら、どれだけ時代が変わろうとも過去・現在・未来において決して変わらぬ不変の真理というものがあり、それを語っておられるからこそ私は松下さんを尊敬しているのです。

では抜粋してお読みします。

商売は真剣勝負である。その勝負のときに、社員が汗水流して働いてくれている姿が見える人、その成果を無にできないと思える人は、強い。

こっちが値をつけても、「何を言うとる、そんなもの売れるか、相場はこうやで」と、こうなりますな。・・・(略)・・・「松下さんこれ高いな、よそはもっと安いで」とこういう場合があります。そのときにぼくはね、「しょうがおまへんなあ」と言うてまけなかったんです。

そのとき、ぼくの目に浮かんだのは従業員の姿ですわ。
原価が1円のものを1円15銭と言うて高いとおっしゃる。すると自分の働きが悪いのかということですね。自分の働きが悪ければ、これはしかたない。

しかし顧みて、自分の働きは悪くない。一生懸命働いている。よそよりコストが高くついているはずがない。またそのとき、10人なら10人の者が朝の7時から晩の7時まで一生懸命働いて、汗水流しているのをぼくはこの目で見ていますわな。

ぼくは、その人たちの成果というものを無にすることはできないと思ったんです。だから「高いからまけろ」と言われても・・・しょうがないなあ、よそが安うするのやったら、うちも安うしないとしょうがないと思ったら、あきまへんのや。

ぼくはそのときに、一生懸命働いておったかということを自分で考えた。また従業員の10人なら10人が、汗水たらして働いているその成果を、自分の意思によって無にすることができない。そうすると、非常に強いものが出てくるわけです。(略)何ごとにもやっぱり自分で正しいと思うことには強い。

従業員が一生懸命にやっているのに、自分が簡単に当を得ない値段をつけることは、その10人の働きを殺すことになります。これは自分として許されないことやと私、思うんですね。常に頭に従業員のことがあるんです。だから、強味が出てくるんですね。(略)この10人の成果を無にしてはいけないということがぐっと出てくるから、強くなるわけです。 

これは経営者として営業について言及しておられますが、この逆も全く同じことです。つまり、他の部署の人達は営業の頑張りを殺すようなことをしていないだろうか?

そうしたことを今一度心に留めながら、今日から始まる1ヶ月も、それぞれの持ち場において真剣に業務に取り組んで頂きたいと願います。

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附記:引用文は松下幸之助著『社長になる人に知っておいてほしいこと』(PHP総合研究所編)、「社員の働きを殺していないか」より